分析フレームワーク(2-2)メッセージボードを作る
データ分析をする前にメッセージボードを作ります。
大事です。
大事だから考えます。考えなければならないので面倒です。でも、あるとないとでは分析結果の良し悪しに大きく影響します。
作ってみると分かります。面倒ですが時間はそれほどかかりません。
メッセージボード
以下は、メッセージボードのイメージです
できれば、「誰?」に対してはプロファイリングシートも作ります。
いきなりすべてを完璧に作るのは無理です。出来る範囲で十分です。
その中で、次の2つは必ず明確にしておきます。
- 誰?
- 目的
漠然としていても問題ないです。
データ分析を通して具体化します。どんどん具体的になります。そのときに作り変えれば良いです。
「目的」です
準備段階の「目的」はかなり漠然としていることでしょう。
問題ないです。
例えば、「売上アップ」だけでも十分です。データを集め分析していく中で具体的になります。重要なことは方向性がぶれないことです。同じ方向性でどんどん具体的にします。
次に「誰?」です
「誰?」に関しても準備段階では漠然としています。
でも、プロファイリングシートを作ると具体化します。しかし、プロファイリングシート自体も最初は漠然としています。
いきなり具体的なプロファイリングシートを作ろうとするのは無理です。重要なのはプロファイリングシートを作ろう!という意識です。意識すると色々と見えてきます。注意が向きます。どのような人か?何を期待しているのか?何を知っているのか?何をしたいのか?何が得意なのか?などを観察します。
プロファイリングシートがあれば、少なくともピザ屋に新メニューとしてラーメンを勧めるようなことはしなくなります。
可能であれば、、、
可能であれば残りの、
- 何? … そのアクションとは何か?
- 具体的には? … より具体的には?
- 最初の第一歩 … 一番最初にすべきこと
も埋めましょう。
データ分析前に作るのは至難の業です。
想像します。妄想します。かっこ良く仮説と呼んでも良いでしょう。準備段階で作っておくと安心できます。最終形がイメージできるからです。
この試みは無謀です。
たぶん内容は変わります。でも、不思議と半分くらいは何となく合っています。
そもそも、データ分析で驚くべき新発見を得ることは少ないでしょう。勘の良い人はデータ分析結果をほぼ当てられます。現場に近い人ほど当てられます。薄々気づいています。
感覚に合わない分析結果は間違っていることが多い
あり得ない結果はほぼありえません。あり得ない結果が出たら慎重に調べるべきです。本当だろうか?と調べます。
よくあるのが、
- 集計ミス
- 稀な現象の過大評価
- データの前提の認識不足
などです。
「集計ミス」は論外です。「稀な現象の過大評価」と「データの前提の認識不足」はデータ分析結果の読み取り方の問題です。
稀な現象とはほぼ起こりえない現象
例えば、分析結果からビールと紙おむつが一緒に購入されることが分かった。店舗の人も気づかなかった。これは新発見だ!さらに、驚くべきことに店のレイアウトを変更することでビールと紙おむつを一緒に購入する人が3倍に増えることも分かった。
でも、よくよくデータを調べたら来店客10、000人あたり1人の稀な現象だった。売上が3倍になるとは10,000人あたり3人になるということ。9997人を無視してたった3人のために店のレイアウトを変える。
果たして意味があるのか?
稀な現象を過大評価すると、間違っていないけど効果が薄い。そんなことが起こります。
データの前提
データの前提とは「データをいつ・どこで・誰が・何のために取得したのか?」ということです。
データの素性です。データの分析結果を読み解くうえで非常に重要になります。
例えば、各新聞社の世論調査の結果。ピッタリ一致することはありません。データの前提が異なるからです。少なくとも「誰が集めたデータか?」という前提は異なります。
データの前提が異なれば分析結果が異なることはよくあります。ほぼ同じデータでも異なることがあります。各新聞社の世論調査のように異なります。
つまり、データを読み解く際に、データの前提を意識しないと読み間違います。詳細は「2章 データを集める」で説明します。
夢の無い話をします
データ分析で新たな発見は少ないです。
新たな発見を過剰に期待するのは止めましょう。データ分析を買い被りすぎです。当たり前のことが当たり前にデータで確認されるだけです。
例えば、あなたが気温の高い日にアイスクリームがよく売れると感じていれば、データもそのままに出てきます。
データ分析は意味があるのか?
データの良いところは裏付けてくれることです。
例えば、何となく思っていることを裏付けてくれます。感覚的なことを確信に変えます。後押ししてくれます。勇気を与えてくれます。
データ分析は選択に迷っているときに決断を促します。
例えば、どちらの製品にセールスリソースを注力すべきか?どちらも捨てがたい。でもセールスリソースは限られている。数年後を見据えて決断したい。
データ分析は問題を浮き彫りにしてくれます。
例えば、新規顧客が増加しているのに売り上げが上がらない。お得意客も減っていない。客単価も落ちていない。いったい何が起こっているのか?
そこで出てくる結果は「なんとなく分かっていたこと」。分析結果を見て「やっぱり!」という感じになります。
もちろん、新たな発見をもたらしてくれることもあります。とは言っても「言われてみれば確かにそうだ!」という感じになることが多いです。感覚に理解できない。そのようなことは稀です。
まとめます
メッセージボードを準備段階で埋めましょう。
「誰?」「目的」は埋まるはずです。
漠然としていても埋まるはずです。絶対に埋めておきましょう。データ分析を進めていくと具体化します。ドンドン具体的にしましょう。
「何?」「具体的には?」「最初の第一歩」も埋めてみましょう。
勇気をもって埋めましょう。データ分析を進めながらどんどん更新していきます。その時点の結論で十分です。記入したことの半分ぐらいは何となく合っています。半分ぐらいは微修正や新たな発見で書き換わります。
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