分析フレームワーク(2-1)準備するとは?
この分析結果は、使えない!!!
よく聞く言葉です。
使える分析結果とはどのような分析結果なのでしょうか?
数値を眺めているだけでは何も変わりません。分析結果を知っているだけでも何も起こりません。
例えば、毎日売上データを眺めているだけでは、売上が良くなることはありません。
アイスの売上と気温が関係していることを知っているだけでは、アイスが売れるようにはなりません。
何が足りないのでしょうか?
足りないのは、アクションです
アクションがなければ良いも悪いもありません。アクションがあれば何かが起こります。次につながります。
良い成果が出なくても新たなデータが取得できます。そのデータを基に改善すれば良いだけです
使えるデータ分析とはアクションに繋がるデータ分析です。
つまり、非常に単純なことだったのです
分析結果が使えないのではない。アクションが足りない。アクションとの繋がりが足りないのです。
アクションをするべき人が動けないデータ分析なのです。
なぜアクションが起こせないのでしょうか?
理由は2つあります。
- アクションを起こせない
- 起こしたくない
どういうことでしょうか?
リソースとパッションの問題です。
やりたくてもリソースがない
例えば、
- 人が足りない
- 材料を調達できない
- 設備がない
- 金がない
- 情報がない
- 販売網がない
- ノウハウがない
色々な理由があります。
やりたい!というパッションが掻き立てられない
例えば、
- 自社の方針に合わない
- 自社のイメージに合わない
- やるべきことと思えない
- やりたいことと異なる
- イメージできない
- 前に一度やって失敗した
- やる気が出ない
- ワクワクしない
などです。
パッションの問題は非常に大きい
人には感情があります。
一時的なものもあれば永続的なものもあります。伝え方や表現の仕方で影響を受けることもあります。
本当に「やりたくない」ことは
やっぱり「やりたくない」
どんなに具体的に手順を示されてもやりたくない。懇切丁寧に説明されてもやりたくない。逆に、具体的かつ懇切丁寧に説明されるほど不快に感じる。
本当に「やりたい」ことは
どうしても「やりたい」
具体的なアクションを示さなくてもやる。方向性を示されただけでやる。分析結果と反してでもやる。
ところが、「やりたくない」ことが「やりたい」に変わることがある。
琴線に触れると突然やる気になる。伝え方や表現の仕方を変えるだけでやる気になる。
あるピザ屋の話です
この地域はラーメンが売れる。
データを分析した結果です。
このことを知ったピザ屋はラーメンをメニューに載せるでしょうか?
私がピザ屋なら躊躇します。同じ麺類ならパスタメニューを充実させたい。
もしかしたらこのピザ屋さん。
- 美味しいラーメンを作るノウハウがない
- 経験もない
- そしてなによりも情熱(パッション)が掻き立てられない
色々な理由が考えられます。
一番大きいのは情熱(パッション)の問題でしょう。
あなたが、そんなピザ屋に
- 「ラーメンをメニューに載せなさい」と言っても載せない
- 懇切丁寧に作り方を教えても載せない
- 何かが違う
- 違和感がある
- イメージが湧かない
そう言われ拒絶されるのが落ちです。
もしかしたら、和風スープパスタとでも表現すれば良いのかもしれません。
ラーメンなので中華風でしょうか。客層が異なりそうですが。
つまり、使えない分析とは「メニューにラーメンを載せろ」とピザ屋に言っているようなものです。
その分析結果はリソースと結びつかない。
パッションが掻き立てられない。
データ分析結果がリソースとパッションに結びつかないとアクションが起こりません。
- ちょっと違う
- 何かが違う
- 違和感がある
- イメージが湧かない
そのように言われることでしょう。
もちろん、データ分析結果を通してリソースの課題を解決する。パッションを掻き立てる。ということもあります。
どうすれば良いのか?
データ分析の準備では「データ分析結果とリソースとパッションが重なる」ための下ごしらえをします。
準備するのは次の3つです。
- メッセージボード
- データの系統図(ツリー)
- スケジュール
この3つがしっかりすれば大きく外すことはないでしょう。
データ分析結果とリソースとパッションの重なりです。
それぞれ説明いたします。
先ずはメッセージボードです
メッセージボードはデータ分析の軸になります。
メッセージボードで、
- 分析結果を誰に伝えるのか?
- それはなぜか?
- 何をするのか?
- 具体的には?
- 最初にすべきことは?
を明確にします。
データ分析の準備段階でメッセージボードを完成させることは至難の技です。
一部だけで十分です。
「誰?」と「目的」は確実に明確にしておきます
出来れば「誰?」に関してはプロファイリングも準備しておきましょう。
データ分析は「誰?」と「目的」がずれると大変なことになります。
「誰」と「目的」はリソースとパッションに繋がります。
ここさえ外さなければ、大きくリソースとパッションから外れることはありません。
とくに「目的」は要注意です
人は忘れます。
データ分析が進むほど忘れます。
データ分析をしている人が一番忘れます。
本来の目的を忘れ、違う目的に置き換わっていることがしばしばあります。
必ず「目的」は明示しておきます。
データ分析する前に必ず「目的」を確認します。
資料として残すなら、その資料の最初に必ず明記しておきます。
準備段階では「目的」は漠然としています
データを集めたり分析を通して「目的」がより具体的になります。
「目的」はデータ分析者が勝手に変えては行けません。
必ずアクションを起こす人と共に「目的」を具体的にしていきましょう。
次にデータの系統図(ツリー)です
データの準備段階でデータの系統図(ツリー)を作ります。
メッセージボードを念頭に作ります。
データの系統図(ツリー)は、
- データの全体図です
- データの地図です
- データ間の関係を表します
- 分析の考え方です
- 分析のアプローチです
このデータの系統図(ツリー)を基に、データを集めます。データを分析します。
分析結果を解釈します。データ分析結果を資料化します。
スケジュールです
スケジュールもデータの準備段階で作ります。
データ分析には期限があるはずです。
なければ必ず期限を決めましょう。だらだら分析しても時間の無駄です。
データ分析にはタイミングも重要です
タイミングを逃したデータ分析は無意味になることがあります。
例えば、あるプロモーションに活かすためのデータ分析。
プロモーションはタイミングが命です。
どんなに素晴らしい分析結果も、プロモーションに活かすタイミングを逃すと十分に活かすことができません。
スケジュールを守るために、
- 詳細なデータを粗いデータにする
- 詳細な分析を粗い分析にする
つまり、どこを粗くするのか?と濃淡をつけます。
データの細かさを粒度と言います。
例えば、
- 粗いデータは粒度が粗い
- 詳細なデータは粒度が細かい
などです。
スピードと粒度はトレードオフの関係にあります。
つまり、粒度が荒いほどスピードは速くなり、粒度が細かいほどスピードは遅くなります。
そのあたりの見極めも重要になります。
まとめ
今回は、ざっくりお話しいたしました。
次回以降から
- メッセージボード
- データの系統図(ツリー)
- スケジュールの作り方
などについて、より具体的にお話しいたします。
タグ:データ分析, データ分析フレームワーク, 分析フレームワーク